「鴨南蛮そば」ってどんなもの?冬に食べたくなる人気のおそば

寒い日などにはとくに食べたくなる鴨南蛮そば。
ボリュームがあり、合鴨肉の風味やネギのおいしさなども相まって、人気の高いそばのひとつです。
そんな鴨南蛮そばはどのようにして生まれたのでしょう。
鴨南蛮そばの始まり
鴨南蛮そばの元祖と謳っているお店が、神奈川県藤沢市にありあす。
その名も「元祖 鴨南ばん 本家」。
このお店の歴史によると、鴨南蛮そばは江戸時代の文化年間ごろに始まったのだそう。
初代となる笹屋治兵衛氏が、長崎にあった南蛮煮(主役となる材料をネギと一緒に煮た料理、または唐辛子で辛味をつけた煮物料理のこと)をヒントに鴨南蛮そばを考案。
江戸でも評判になるおいしさで、店名も「鴨南ばん」として広まっていったそうです。
「元祖 鴨南ばん 本家」にて江戸時代に出されていた「鴨南ばん」は、あたたかいそばとかけつゆに真鴨の肉3枚とたたき骨2本、ここに切った長ネギを入れたもの。
天然の真鴨は冬から春先にかけてしか食べられない希少なお肉で、ネギも冬に旬を迎える江戸野菜・江戸千住葱を使っていたため、冬の間の風物詩として親しまれていたそうです。
現在用いられるのはほとんどが合鴨肉
日本でかつて、貴重なタンパク源として食べられていた真鴨。
じつは日本固有品種ではなく、ユーラシア大陸北部や北アメリカ大陸など北半球にて広く分布し、日本へはシベリア等で繁殖したのち越冬のため渡ってきます。
なお、北海道や本州の一部の地域にて繁殖する真鴨もいるようです。
このため、真鴨が食べられるのは基本的には冬のみ。
現在では狩猟の解禁時期が決められ、11月から3月頃までしか獲ることができません。
とても希少なお肉となっており、市場にはほとんど流通していないのが現状です。
というわけで「鴨南蛮そば」といっても、入っているお肉は真鴨ではないことがほとんど。
では何のお肉かというと、真鴨とアヒルを交配させた「合鴨」です。
合鴨肉は、鴨肉と比べると脂身が多く、やわらかな赤身で食べやすいのが特徴です。
焼きすぎると固くなりがちなので、さっと火を通して食べるのがベスト。
多少の臭みがありますがそれも合鴨肉の特徴のひとつであり、また生産地によっては臭みの少ない合鴨肉を提供しています。
「合鴨」という名付け親は大阪のツムラ本店
大阪・松原市にある「ツムラ本店」はブランド鴨「河内鴨」を生産する飼育農家で、合鴨という名前を考案したのもツムラ本店のかつての社長だったそうです。
今では「合鴨」が一般名称となったため、差別化として「河内鴨」ブランドで販売しています。
ツムラ本店では孵化から飼育、精肉加工まですべて自社で行ない、抗生物質の投与なども一切せずに育てているのだそう。
なるべくストレスを与えずに育て、生で食べられるほど安心・安全の河内鴨を生産し続けています。
また鮮度にもこだわり、新鮮さを保つために出荷エリアは大阪・京都・神戸までに限定。
というわけで関西の有名そば屋でいただける「鴨南蛮そば」は、ツムラ本店の河内鴨が使われることがとても多いです。
ツムラ本店では小売もしており、朝引きした新鮮な河内鴨を購入することも可能です。
生食できる肉もあるそう。
ぜひ一度食べてみたいですね!
鴨のダシを効かせた「鴨南蛮そば」鴨肉は添付されていませんが美味しいですよ!